高安秀樹『経済物理学の発見 (光文社新書)』を読んでみた。
経済物理学(エコノフィジックス)という単語と、著者の名前は何となく以前から目にしてましたが、書籍(というか、それなりの長さの文章)を読んだのは初めてでした。 拙者には経済学の素養がないので何とも言えませんが、物理学やってた人には、いきなり経済学の専門書読むよりハードルは低いんではないでしょうか? ねぇ、菅首相(笑) とは言っても、経済システムの構造のイメージがないと普通に経済学の書籍読むのと変わらないかも。
エコノフィジックスは、物理学でいう「臨界現象」の知識を使って、(金融工学では扱えない)株の暴落などの大変動を扱おうって学問のようですね。 最初は「株価変動って臨界現象なのか?」という違和感もありますが、臨界現象に特有の冪分布が現れることから、扱う枠組みとしては理に適っている感じですねぇ。
他には、「為替レートの変動に左右されない通貨」としての複合通貨というのも扱われてました。 最初は机上での理論なのかと思ってましたが、それなりに研究も進んでいて、採用を考えているような団体もあるようなことが書いてましたね。 理念的には素晴らし気ですが、為替変動の影響を、代金を支払う側や給料を受け取る側に押し付けてるって感じもするんですが、どうでしょう?
金融工学にしてもエコノフィジックスにしても、伝統的な数学、物理学の知識を習得した人間に経済学へ踏み込んでいくハードルを低くするって意味だけでもそれなりに価値があるんではないでしょうか。 それらの伝統的な学問をやってる人に、経済学を学んで現在の経済を立て直すような案が出てくるかどうかは、また別問題ですけどね。
- 作者: 高安秀樹
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2004/09/18
- メディア: 新書
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