村上世彰被告に対する第1審判決について
激突!ナマ激論ではないんだけど・・・ 冒頭のニュースから激論が!
大谷:大谷昭宏氏、宮崎:宮崎哲弥氏、橋下:橋下弁護士、MC:堀江アナウンサーです(敬称略)。 例によって、これはこれは放送を完全に再現するものではありません。
事件の経緯は省略します。
判決
東京地裁の判決:
不自然極まりなく、とうてい認めることはできない
とし、求刑「懲役3年、罰金300万円、追徴金11億4900万円」に対して、判決「懲役2年、罰金300万円、追徴金11億4900万円*1」が言い渡された*2。
激論 其ノ壱
- MC
- 執行猶予がつくという見方もなくはなかっんですが・・・
- 大谷
- でもこれ、否認してますからね。 執行猶予というのは、反省してるとか、少し情状の面で云々とかがあるからとかで。 否認している者に対して反省してるとか、もうこの辺でいいじゃないかとかできないんで。 ホリエモンと一緒で基本的に否認事件に対して執行猶予を付けるというのはなかなか難しいんですね。
- 橋下
- そういうコメントをされる方が非常に多いんですけど、実際に(日本長期信用金庫などの)大型経済事犯といわれた人は、みんな否認してるのにみんな執行猶予なんですね。 というのは、裁判というのは争うことの権利が保障されてないと争えないじゃないですか。 反省どうのこうのではなくて、争った上で罪として執行猶予かどうかを客観的に見るのが裁判ですから。
- 大谷
- でも今回の場合は、一番印象が悪いのは、捜査段階で認めちゃって。 公判になったら自分のファンドを守るためだったと(否認した)。 守るんであれば、一番最初に(調べの段階で)否認しなければおかしいでしょう。 これが裁判官の印象(心証)を悪くした。
- 橋下
- 村上被告を弁護するつもりは毛頭ないですけど、過去のインサイダー事件を見れば(初犯でもあるし)執行猶予になってもおかしくない。
- 宮崎
- 有罪かどうかを言えば、ライブドア裁判の状況を見ていると、堀江氏にとって不利な証言は全て認めてるんですよ。 で、有利な証言は全く認めなかった。 同じ人が証言者なので、予想としては有罪になるだろうということはほぼ間違いないだろうと。 執行猶予については微妙なところですが。
新聞など
日本経済新聞 夕刊
「被告、表情ぼうぜん」
(村上被告は)言い渡した後、被告人席に座ると顔色は蒼白に。 実刑の重みを感じたのか、長くため息をつき、ぎゅっと目をつむった。
東京地裁裁判長が断罪
社会の耳目を集める裏で一般投資家を欺いていた
記者会見での謝罪は当然だったのに法廷では態度を一変させ、巧みに問題をすり替えており、反省は皆無
徹底した利益至上主義には慄然とする
産経新聞 夕刊
「金儲け至上主義」断罪
市場の公正さを著しく損ねるインサイダー取引に対し厳しい姿勢を示しただけでなく、村上被告の「もうけられれば何でもあり」という思考も断罪したといえる
「村上的なもの」の横行を許せば、自己責任で資金を運用している個人投資家たちが市場に見切りをつけかねない。 判決は、“うそつき”の村上被告に退場を迫ったものと言える。
激論 其ノ弐
- 宮崎
- これはまさに、元裁判官の井上薫氏がいった『司法のしゃべりすぎ』ってやつで、だって金儲け至上主義は悪でも何でもない(犯罪ではない)わけですから、これを思想的に断罪する権利は司法にはないわけです。 私の観点から言えば、これは国策司法だと言うことを裁判所自ら認めたんだと言っていい。
- 大谷
- これはいい意味での国策捜査なんですよ。 裁判所に嫌われちゃったんですよ。 裁判所はこういうことを受け入れないと。
- MC
- そうすると個人的な感覚に近いんじゃないんですか?
- 橋下
- 司法はそういうことをやっちゃいけないと思うんですよ。 世間から逸脱することはよくないですが、そことは別に、公平さというのは必要なんでね。 井上さんはしゃべらなさすぎでダメだと思うんですが、今回(の裁判は)はしゃべりすぎでね。 これは司法がやることじゃないんですよ。 何でこうなったかというと、裁判官と村上被告や堀江被告とは対照的な人生観というか生活様式なので、気にくわないんですよ。
- 宮崎
- 私が一貫して言っているのは、これは霞ヶ関、日本の司法、検察の逆襲だと。
村上ファンドはその後・・・
ピーク時には約4000億円を運用していた村上ファンドだが、事件発覚後出資者からの解約が相次ぎ、顧客に出資金を返還するため保有株式を売却。 去年末、事実上の解散をした。
ただし、村上被告の個人会社には今も200億円超の資産があるといわれている。
村上被告はかつての「AERA」のインタビューでこう語っている:
ボクは時代の徒花(あだはな)です。
市場が健全化され、国が良くなったときボクらの役目は終わる。
激論 其ノ参
- MC
- 市場は健全化され、国が良くなってるんでしょうか?
- 宮崎
- そこはね、市場メカニズムが健全に働けば、すべてが効率的になり良くなるという幻想が蔓延していた。 その幻想によって彼らが風を受けて融資していったんですが、それがだめになったんですよ。
- 橋下
- ひとつ本当に言いたいのは、インサイダーってみんな言いますが、これは法律の拡張解釈でね。 村上被告は話しを聞いてたと*3思っています。 が、それがインサイダーに当たるかといったら、今までの僕らの考えだと当たらないんですよ。 会社のきちんとした業務執行の機関が決定したことが重要事実だと僕らは習ってきたんですよ。 あんな何千人も社員がいる会社なのに、3人くらいの井戸端会議で何でも決まるのかと。
- 宮崎
- 実態を見れば決まる実態があったんだよ。 オレはこの連中を割とよく知ってるから(言うけど)。
- 橋下
- でもそれを言い出したら、法律なんてどんどん拡張解釈して、何でもインサイダーになりますよ。
- MC
- 当然、控訴とかになるんでしょうね。
- 大谷
- でも、おそらくひっくり返らないですよ。
- 宮崎
- やっぱり、橋下さんを弁護士に雇うべきだよ。
- 作者: 井上薫
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