『少女不十分 (講談社ノベルス)』読了。
西尾維新、作家人生10年を経ての原点回帰とのことで、クビキリサイクルとかのようなミステリーかな?とちょっと思ってたけど、実際にはそうでなくて、小説家としての原点回帰というか、作家志望者から作家へと一皮むけるキッカケとなった出来事、まぁこの言葉はあまり使いたくないと書かれてた気がするけど、端的に言えば「トラウマ」をつらつらと書き連ねた内容になってます。
冒頭は、著者が抱いている作家と作家志望者との違いについて語られてます:
作家は物語を作る。 が、作家志望者は嘘をついているだけ。
物語を作ることと嘘をつくことは違い、また、文章が書けることと、小説が書けることも違う。
西尾維新の作品には「物語」というのがキーワードなようですね。 『物語シリーズ』(化物語とか傷物語とか)はもちろん、『クビキリシリーズ』(と言っていいのかな? クビキリサイクルとかクビシメロマンチストとか)でも「物語」というのが結構キーワードになってたように思いますが、これらの作品というよりも作家としての西尾維新に根ざすほどの根深さがあったのですねぇ。 作家志望の方にはこの作品、参考になるかもネ。 西尾維新だからこその話なので参考にならないかもしれないけど:-P
で、話はその「トラウマ」となるエピソードへ。 これは著者が作家を目指して小説を書いては出版社に送っていた作家志望者時代のお話。 年代的には10年ほど前で、彼がまだ京都で学生してたときに体験した出来事。 このあたりの設定は『クビシメロマンチスト』の舞台と似ていて(というより同じ)、ある種原点回帰でもありますね。 この大学生時代に、何気ない朝の通学中、交通事故を偶然目撃してしまったことから小説よりも奇な出来事に遭遇する、って感じですね。
さて、この「トラウマ」となるエピソード、内容はネタバレになるので書きませんが、実際に著者の体験なのか?という疑問がそこかしこから湧き出る話。 現実的に考えると、「事故を偶然目撃した」あたりの話は実際にあって、それ以降は作家特有の想像力で書き上げたものだと思うのが無難だと思うけど、「実際に体験してないと、そんなこと思ったり、そんなことしたりするかな?」という箇所もちょくちょくあって断言できないんだねぇ、これが。 まぁ、意外と最初の1字から全てウソ(じゃなくて物語(笑))って可能性もあるけど。
ちなみにこの作品は、担当だった編集者が寿退社するにあたり、義理立てで書き上げた作品だそうで、「なんか、そんな義理で出す作品かなぁ」という疑問があったので、この編集者がタイトルにある「少女」なのか?という予想が頭の片隅にありましたが、予想外れ・・・ 何だったんだ、この設定(笑)
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