西尾維新『猫物語 (黒) (講談社BOX)』を読んでみた。
この巻は『傷物語』に続いて、『化物語』中で語られていた伏線エピソードを回収するお話。 『傷物語』は春休みに阿良々木暦が吸血鬼に襲われた「こよみヴァンプ」というエピソードでしたが(祝・アニメ化決定!)、この『猫物語【黒】』は、GW に起こった羽川が猫に魅せられたエピソード。
ページ数は300ページ強で「化物語」に比べれば少し薄め。 とは言っても「化物語」中で語られていた粗筋を考えると「本1冊の分量になるのかなぁ?」とちょっと心配でしたが、読み始めると・・・最初80ページくらいが、変態主人公(阿良々木暦)とその妹・阿良々木月火との禁断のエロトーク・・・ 完全にアニメ化 NG! 「戯れ言(ざれごと)」というと他のシリーズになってしまうので、あえてこう言っておこう、まさに「戯言(たわごと)」のオンパレード! 西尾維新の真骨頂と言っていいんだろうか? しかも、ちょくちょく固有名詞は出てくるわ、ジャンプのマンガの登場人物やら必殺技やら出てくるわ(これ「講談社 BOX」だっちゅうの)で・・・まぁ、今に始まったことでもないか(笑)
ところで、アニメで阿良々木月火の声優をやってる井口裕香(いぐちゆか)さんって、『とある魔術の禁書目録』でインデックス役やってる人だったのね。 全く気付かんかった。
さて、シリアスな内容的には、まぁ『化物語』の中で大筋は語られているので、そんなにめぼしい、ドラマティックな、トラジェディックな話はない・・・かと思いきや、いい意味であれこれ期待を裏切られましたねぇ。 なんつぅか、「障り猫」って低級な怪異って設定だったけど、「ブラック羽川」って厄介なやつだったのねぇ。 羽川翼って、クラスの委員長で、優等生で、生真面目で、善良で、とても頭がよくて、誰にでも公平に優しいだけの単なる女子高生かと思ってたけど、あそこまで能力があったとは。 逆に「化物語」のときは、よくあの程度で済んだよね、って言いたい。
まぁ、今から「化物語」を読み返してみれば、あれこれ矛盾が出てくるのかも知れないけど(少なくともアニメ版の回想シーンとはかけ離れてますねぇ)、だからといって「化物語」や「猫物語【黒】」の魅力が色褪せるってことにはならないでしょうね。 少しくらい矛盾がある方が、この世界観に合ってるんでしょうし(あとがきによると)。 むしろ逆に「こんな伏線あったんだ!」ってことになるかもね。
さてさてこのエピソードは、いろいろなバトルがあった5月7日が終わり、GW があけた5月8日の朝に、遅刻しそうになりながら階段を駆け上ってるところで終わってますねぇ。 なんというか、こんなに間髪入れずに怪異にばっかり出遭ってたら、さすがに忍野メメっちにも呆れられるよねぇ。
次巻は「つばさタイガー」。 タイガーは猫科最強の個体だから、すごいバトルが繰り広げられるのかなぁ。 もう忍野メメっち、いないのに。
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