倭マン's BLOG

くだらない日々の日記書いてます。 たまにプログラミング関連の記事書いてます。 書いてます。

『初めまして、空々空。 僕はまぁ、地球だ』

悲鳴伝 (講談社ノベルス)』読了。

軽くネタバレ


いきなり他書を持ち出すのもアレですが、物語の始まりは『アライブ 最終進化的少年(1) (月刊マガジンコミックス)』みたいな感じの絶望的で破滅的なスタート。 こういう始まりだとシメがしっかりしてないと話が閉じないと思うのだけど、悲鳴伝は「これで終了?」なのか「続編があるのか?」よく分からんシメだったなぁ。 売れれば続編だすよ、的な大人の事情なのかもしれないが(笑) まぁ、一応この一冊で話は完結してるけど、大本の悲鳴の核心がそんなに詳らかにされてない感じがするので個人的には続編希望。

物語の分類的には、一応ヒーローもののバトル系と言えるけど、なんというか全然敵と闘ってねぇ(笑) 壮絶なバトルは身内と交える、ってなダークバトルばかり。 あとがきに、この物語の主人公、空々空(そらからくう)は「(著者が書いた中で)新しいタイプの主人公」と書かれてましたが、敵をバッサバッサと倒して功績を上げるヒーローではなく、身内を(なし崩し的に)蹴落として組織内でヒーローになる、と思えば新しいタイプではあるかも。 まぁでも、必殺技のグロテスキックは地味すぎるw

しっかし、空々空を「新しいタイプの主人公」とは言っても、精神性は戯言シリーズ戯言使いと同じようなタイプですね。 むしろそれを突き詰めて、かつその精神性が具体的なアドバンテージ、ヒーロー的特性になるような舞台設定をしたって感じでしょう。 このあたりの話の作りは「ナルホド!」とか「そうきたか!」と思わされる部分が多々あったので、少なくとも『少女不十分 (講談社ノベルス)』よりは「西尾維新作品の集大成」感があったやに思います。

ちなみに、続編があるのかないのか知りませんが、『西尾維新史上、最長巨編』というキャッチコピーはこの1冊が分厚いってだけで、大して意味はないようです。

もっとネタばれ


自称地球の言葉、「酷いことするよね、まったく。 人を守るために人を殺す。 そんな発想だから僕は人間を滅ぼすことに決めたんだよ」 まぁ、ありきたりな理由でもあるけど、この作品を読み終わってみれば地球が人類を滅ぼす理由にそんなに重要性はなく捻りもいらないので、分かりやすいのが一番ではあったかもね。 とは言っても、もっと自称地球と空々空(もしくは普通の人間でもいいけど)との掛け合いが見たかったので、やはり続編が出て欲しいところ。

そう言えば、結局のところ空々空に左在存(ひだりざいぞん)が人間の姿に見えたのはなぜなのか?という疑問は解決されてませんでしたね。 「実はミラーグラスなしでも地球陣を視認できる」というのが一番あり得そうだけど、その後の哲人幼稚園の件でもミラーグラス越しにしか地球陣を見ていないので真実は不明。 まぁ、こういうのも続編で解決してほしいね(というか続編への伏線だったりするかも)。

ところで、空々空は剣藤犬个(けんどうけんか)に、物語の最後になるまで「ありがとうございます」と言わないという話でしたが、実際には 342 ページ(物語中盤)で思いっきり言っちゃってるんだよねぇ。 それ以前にも「ありがとうとは言わない」という伏線は書かれてるので、これは校正ミスだろうね。 シメが締まらんね。

P.S. 悲鳴伝、読んでると中盤辺りから完全院さんのスキルに出てくるキーワードがチラホラと目に付いたので*1、おそらくこれを書きながらスキル600個(の少なくとも一部)を考えてたんじゃないかなぁと推測w 

悲鳴伝 (講談社ノベルス)

悲鳴伝 (講談社ノベルス)


*1:『沼男』(スワンプマン)のエピソードがありましたが、それに対する『沼女』(スワンプガール)という魔法系スキルがある、みたいな。