鎌池和馬『新約 とある魔術の禁書目録 (2) (電撃文庫)』読了。
今回は、“禁書”の世界での「魔術はどういったものか」ってことの種明かしというか、解説。 一応、壮大なスケールの敵が出てきますが、完全に過去のネタの使い回し(笑)
以下、ネタバレで・・・
“禁書”の世界では、超能力とはパーソナル・リアリティの具現化みたいなもので、魔術は才能のない者(超能力の使えない者)が才能のある者に追いつくために編み出した能力だっていう設定でした。 今回は、この魔術のメカニズムをもう少し掘り下げて、世界観をつまびらかにしようっていう巻でした。 んで、今まで魔術の存在を知らなかった、もしくは得体の知れないものだと思っていた科学サイド(超能力者)の人間たち(一方通行や浜面仕上たち)が、それなりにキチンと魔術を認識するようになりました。 このあたりは、前巻から仕切り直しをした意味が出てきたかなってところの1つかと。
あと、前々巻で神の右席が壊滅したため、今巻では当面の敵の片鱗が新たに登場。 まだほとんど「グレムリン」って名前しか明らかになってませんが、「科学を喰らうオカルト」ってコンセプトはナルホドって感じですね。 ただ、今のところ神の右席ほどの強敵になるような気がしませんが・・・ まぁ、その辺は今後に期待ってことで。
ところで、これはハッキリとは書かれてなかったと思いますが(あとがきに書いてたかな?)、次巻以降は御坂美琴嬢も本格参戦してきそうな模様。 コミックでは完全にスピンオフ作品が独り立ちしてしまってて本編でどうなることかと思ってたけど、これは嬉しいニュース。 彼女なら魔術師とも対等以上に闘えることでしょう。 一部で根強いファンのいる白井黒子はやはり共に参戦するんでしょうかね。 結構便利そうな能力だし。
バトルに関して
今回は、本格的なバトルを繰り広げたのは神裂火織1人。 最近ヤラレ役になってたので面目躍如と言ったところですかね。 ただ、バトルに関してはチョクチョク不自然なところがあって、敵が体当たりを喰らわした後でボウガンの矢を放ったり(体当たりを喰らわせられるなら、先にボウガンで攻撃しておけば致命傷を与えられたハズ)、神裂が刀で斬るのが間に合わないから蹴りを食らわしたり(どう考えても、蹴りより刀で斬る方がリーチもスピードも上だろうに)と、ムダに戦いを引き延ばす不自然さがありましたね。 まぁ、今に始まったことでもないか・・・
ラジオゾンデに関して
完全にベツレヘムの星のネタを使い回してるよね・・・ 直径20kmで上空5万m(50km)、学園都市近くまで来たときは上空1万m(10km)まで高度を下げてたんだよね。 比率的には結構な低空飛行じゃね? 全天(天球の半球とする)の3割くらいを覆ってる計算に。
幻想殺しに関して
魔術のメカニズムの解説に加えて、幻想殺しの性質についても少し記述がありました:
幻想殺しは異常な値を均一化させる事に対しては極端に働くが、元から均一なものに対してはあまり力を発揮しない。 あくまでもあれは調和のとれた破壊を実現する。
とのこと。 ただこれだと、「普通の人が通常受けているような神の加護を打ち消してしまって不幸ばかりが降りかかる」という、上条当麻の最初期の設定が破綻してしまうんだけど・・・
- 作者: 鎌池和馬,はいむらきよたか
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2011/08/10
- メディア: 文庫
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目次
- 序章 『使途不明、それでも脅威』 Radiosonde_Castle.
- 第一章 『新たな領域、のちに魔術』 Lecture_One.
- 第二章 『変わらぬ日々、時折異質』 Lecture_Two.
- 第三章 『受け入れる者、だが不穏』 Lecture_Three.
- 第四章 『招待状、そしてその名は』 Lecture_Four (and_More).
- 終章 『休息、しかし暗部で交錯』 Birdway's_Speech.
裏表紙は『人の姿を捨てた魔術師』