西尾維新『傾物語 (講談社BOX)』を読々。
この巻は『傾物語(カブキモノガタリ) 第閑話 まよいキョンシー』。 で、八九寺真宵(はちくじまよい)がヒロインかと思いきや、もっと言えば、前回の流れからして語り部がそもそも八九寺真宵なのかと思いきや、彼女本人はあんまり出てきませんでした。 それなりには*1登場するし、キーパーソンであることも確かだけど、この巻でヒロインは誰か?と問われれば、忍野忍と言わざるをえませんねぇ。 ストーリー的にメインも原因も忍じゃん。 2011年9月発売予定の『鬼物語 第忍話 しのぶタイム』の内容はどうなるんでしょうか? つーか、「しのぶタイム」って! まぁ、いっか。
正直言って、この巻で八九寺真宵が成仏というあってほしくないハッピーエンドも覚悟していたんですが、まぁ、そんなレベルの話ではなかったですね(笑) 結果を言えばハッピーエンドでもあり、アンハッピーエンドでもあると言えるのかな。
『猫物語 (白) (講談社BOX)』ではメチャ強くなった阿良々木暦がチラッと登場しましたが、この巻ではそこまで話が進まず、終了時点の時間は新学期初日(8月20日*2)の始業式開始頃。 あとがきによると、ここから間髪入れずに次の『花物語 第変話 するがデビル』に突入。 たしかに『猫物語 (白) (講談社BOX)』では神原駿河の親族らしき人間が登場してたので、そこへ話が繋がっていくのも当然というか必然か。
「この本は100パーセント修羅で書かれた小説だ」って書いてたのでバトルに突入するかという予測もしてたんですけどねぇ。 というか、修羅々木暦というネーミング(八九寺真宵による)は出てくると思ったんだけど。 予想外れ。
以降はネタバレで・・・
この巻の SF 的要素はタイムスリップとパラレルワールド(すでに怪異ではない!!)。 タイムトラベルあれこれでは、運命の大筋は変わらないように、またタイムパラドクスが起こらないように歴史は修正されていくって話をしていて、なんとなく『ネコソギラジカル』や『刀語』っぽい世界観。 でも最終的にはパラレルワールドが出てきて完全にドラゴンボール(セル編)の世界観へ!
さてさて、この巻のテーマ的なモノは「一人の女の子を救うことで世界が滅ぶなら、その女の子を救うか?それとも救わないか?」。 漫画等の世界では女の子を救うという選択をすることが常だけど、現実社会ではおそらく誰もが女の子を助けないことが正しいと分かっている。 はてさて、阿良々木暦はどういう結論を導いたのか?あなたはどういう結論を導くのか?
まぁ、そういう堅い話はおいといて、個人的に面白かったところ。 まず、忍野忍の「徳川家継(とくがわいえつぐ)のものまね」。 だてに598年と11ヶ月生きてるわけじゃないけど、誰も似てるかどうか判断できねぇ(笑) 「矛盾」という言葉の成り立ち(?)も面白かった、というか良くできてる。
意外だったところは千石撫子の邪悪キャラ。 真面目そうに見えて、妙なところでモラルがない、ちょっとバカって娘は確かにいる(笑)
そういえば、子どもの頃の羽川翼(ロリ羽川、ロリ委員長)、阿良々木暦に綱手家の場所聞かれてたんだね。 このとき、素直に綱手家の場所を教えてないけど、それは単純に知らなかったのか、それとも知ってて教えなかったのか・・・ それはともかく、『化物語(上) (講談社BOX)』にて(高校生の)羽川翼が阿良々木暦に綱手家の場所を聞かれて「知らない」と答える前に少し悩んだのは、このときの記憶を思い出したからでは?
なんか、所々で東京都のマンガ規制条例に対する批判が載せられてましたが、全体的に(他の「物語シリーズ」も含めて)「映像化はもとより画像化されても即規制されるだろ!」みたいな内容でした(笑) あと4冊も刊行予定だけど、大丈夫なのかなぁと心配。 唯一の救いは自己認識があるところかな。
- 作者: 西尾維新,VOFAN
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/12/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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