ローワン・ジェイコブセン著『ハチはなぜ大量死したのか』読了。
とりあえず一言、「まだ原因わかってないんかい!」
ダニや農薬、はたまたハチのエイズウイルスなどが原因だとする報告が紹介されていて、どれもそれらしい候補。 だけど、ハチの生存環境の悪化による、それらの複合が原因だという著者の考えは微妙に根拠が薄い感じが。 それが間違っていると言うわけではなくて、ダニ・農薬・ウイルスに関しては、ダニがハチから検出されたとか、農薬を与え続ける実験をしてハチが似たような振る舞いをしたとかいった報告がある一方、生存環境の悪化は(悪化していることに疑いはなさげだけど)、それが大量死を根拠づけるデータなり実験なりが言及されていないということですが。
読後の感想としては『啓蒙書』という感じですね。 2章あたりでミツバチの生態をそこそこ深く掘り下げて説明しているところでちょっと挫折しかけ、中盤辺りに入って「まさかまだ原因分かってないのでは?」と不安に駆られ、終盤にかけて少し養蜂に興味が湧いてくるような流れ(笑)
付録1「アフリカ化したミツバチ・・・」で言及されていた「巣房の大きさのばらつき」は詳しく研究すると、生物学的にも数学的にも (?) 結構おもしろいかもしれませんね。
「訳者のあとがき」に日本のミツバチは被害が少ないという話が書かれてますが、最近のニュースを観るとそうでもない模様。 日本の「ミツバチ不足」は必ずしもアメリカやヨーロッパのものと原因が同じとは限りませんが。
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