ジョージ・G・スピーロ著『ケプラー予想』読了。
予想してたより面白かった!
「フェルマーの最終定理」と並ぶ難問、「ケプラー予想」。 間もなく21世紀に入ろうかという1998年に解決された(証明とされる論文が掲載された)けど、後2年待てば確実にミレニアム懸賞問題になったであろう問題です。 その解決には400年近くもの年月を要したそうで*1。
その問題となった予想は
3次元空間で一定の半径の球を最も密に配置する仕方は面心立方充填もしくは六方最密充填である
というもの。 要は、「球を一番詰め込める方法は?」ってことです。 六方“最密”充填という名称は、この予想が証明されてのち使用すべきものなんですね。
「フェルマーの最終定理」が人々を魅了する理由として『定理を理解することが中学生くらいの数学の知識でできること』*2だという話がありますが)、「ケプラー予想」もそれと同じくらい予想の内容を理解すことは簡単です(上記の書き方はちょっとカタいですけど)。 ちなみに、こちらの方は証明も高校レベルだそうです。 一番専門っぽいので「線型計画法」、つまり、拘束条件(制約)がある場合に最大値・最小値を求める最適化の問題です*3。 ただ、最終的な証明に必要なのは、変数や拘束条件が何十、何百とある場合なんですけど ^ ^;)
それはともかくとして、この書籍の付録に書かれている数学は、高校数学の知識があれば何とか追えるレベルなので、数学に自信のある高校生は試してみては?
ちなみに、この書籍の内容は
- 円の最密充填(2次元格子の場合)
- 円の最密充填(2次元の一般配置の場合)
- 3次元の接吻問題
- 球の最密充填(3次元格子の場合)
- 球の最密充填(3次元の一般配置の場合)・・・ヘールズ、ファーガソン
といった流れで、証明やその進展に関わった人達の生い立ちなどが随所に散りばめられています(たまに話がそれて鬱陶しく思うことも)。
この「ケプラー予想」は、「四色問題」とともに『コンピュータを用いた証明』であることでも物議を醸し出した(ている)問題でもあります。 最近では数学の研究にもコンピュータは欠かせないので、当時ほど(と言っても証明から10年チョット前だけど)証明に抗議する人はいないかと思うけど、お世辞にもエレガントな証明とは言えない。 数学ではエレファントな証明と言うんですっけ(笑) とは言っても、コンピュータ使えば何でも証明できるってワケではないので、証明できるなら価値は充分にあると感じますけどね。
追記:
- 3次元の一般配置の場合の証明でヘールズが用いた手法は、どことなく四色問題の手法と似てるような感じがするんですけど。 球面上の四色問題とかと関係ないのかな?
- 9次元では格子上に配置したものより充填率の高い乱雑な配置があるらしい!
さて、次は『ポアンカレ予想』行きますか。
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